フリーランス音楽家の節税にも役立つ!?「ふるさと納税」入門♪/Vol.18
事業所得をはじめ、(副業・複業による)雑所得など、「お金の管理」はすべて自己責任になるフリーランスの音楽家さん。
「音TOWN.Biz」では、「お金の学び直し」をテーマに、「確定申告・節税」などについてお伝えしてきています。
今回はその中でも、「節税」につながる制度として名前だけは聞いた事がある方が多い「ふるさと納税」のご紹介♪
「返礼品がもらえるって聞いたけど、実際どういう仕組み?」「本当に得なの?」という方に向けて、なるべく分かりやすく解説しますね!
『音TOWN』(おんたうん)は、『音楽“と”生きる街』をコンセプトに、(プロアマ問わず)音楽家がより生きやすくなるために、主に音楽以外の有益な情報をお届けしています。
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このシリーズでは、音楽を職業にしていくためにとても重要であるにもかかわらず、学校ではあまり教わらない“お金”について、改めて学んでいきましょう!
お金について学ぶと「生き方」も明確になりますよ!
この記事を読むと役に立つ人は!?
・フリーランス・個人事業主の音楽家(演奏家)として活動している方
・「ふるさと納税」の仕組みやメリット・デメリットがよく分かっていない方
・「節税」「節約」したい方
読んだらどんな良い事が!?
・「ふるさと納税」の仕組みやメリット・デメリットが分かる
・「確定申告」を通して「節税」出来る可能性がある
・地方への応援、恩返し、貢献の意識が芽生える
そもそも「ふるさと納税」って何?なぜ始まった制度?
「ふるさと納税」は、2008年にスタートした制度で、簡単に言うと「自分の住んでいる自治体以外に寄付が出来る制度」。
なぜこの制度が始まったかというと、地方から都会に出てきた人が、自分のふるさと(生まれ育った地域)に税金を払いたくても出来ない仕組みになっていたからです。
通常、税金(住民税)は「今住んでいる市区町村に納める」ものですが、「地元にお世話になったから、少しでも恩返ししたい」という気持ちを形にする仕組みとして「ふるさと納税」が誕生しました。
ちなみに現在では「ふるさと」だけに限らず、全国の自治体に寄付が出来ます。
結果的に、寄付したお礼として地域の特産品などがもらえる仕組みが広まり、「節税+お得な制度」として利用者が急増しているわけですね。
どうやって得になるの?節税の仕組みをざっくりと!
「ふるさと納税」は、正確には「寄付」の一種ですが、寄付した金額のうち、自己負担額2,000円を除いた全額が、翌年の所得税や住民税から控除されます!
たとえば、3万円を「ふるさと納税」した場合、
・自己負担:2,000円
・控除される額:(所得税+住民税から)28,000円
・お礼の品:地域の特産品(お米、肉、果物、海産物、家電など)
つまり、実質2,000円の支出で、価値にして数千円〜数万円相当の返礼品が受け取れる仕組みです。
控除の仕組みの内訳(ざっくり)
所得税:確定申告をする事で、寄付した年の所得税が一部還付されます。
住民税:翌年6月以降に納める住民税が減額されます。
控除上限は「年収や所得によって異なる」ので注意が必要ですが、フリーランスの音楽家さんの場合、例えば年間所得が50〜100万円程度あれば、控除上限は数千円〜数万円ほどになります。
※「確定申告」ですでに赤字申告の方(所得税や住民税を払っていない方)は、当然ですが、そもそも税金を払っていないので、それ以上節税をする事は出来ません!(実質自己負担で商品を買うだけになってしまうので注意してください)
どうやって利用するの?実際の流れとおすすめサイト

ステップ1:控除上限額を確認する
まず、自分がいくらまでふるさと納税できるか(控除上限額)を確認しましょう。
例えば、以下のサイトで簡単にシミュレーションが可能!
ステップ2:自治体と返礼品を選ぶ
食べ物や日用品、旅行券、楽器関連アイテムまで、返礼品のジャンルは非常に多岐に渡ります。
自分のライフスタイルや好みに合わせて選びましょう!
・地元のクラフトビール(地方のブルワリー支援)
・ご当地のブランド米(重い買い物・支出を減らせる)
・高品質の肉や魚(外食を減らせる)
・文具や生活用品 etc.
ステップ3:寄付の手続きをする
気に入った自治体・返礼品が見つかったら、専用サイトから「寄付」の手続きを行います。
支払い方法は、クレジットカードやコンビニ払いなど。
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このようなケースでも「クレジットカード」を利用し、ポイントやマイルを貯められますよね!
ステップ4:控除申請を行う
申請方法は2つ。
A. 確定申告で申請(フリーランスはこちら)
寄付証明書(各自治体から届く)を保管
確定申告書に寄付金控除の項目を記入
「freee」などの会計ソフトを使えば、簡単に入力出来ます♪
B. ワンストップ特例制度(確定申告不要な人向け)
寄付先が5自治体以内
会社員など、確定申告をしない人が対象
※音楽家さんにはあまり関係ありませんが、念のため紹介しておきます。
音楽家にとっての「賢い活用法」
フリーランスのミュージシャン、音楽家さんは、なにかと生活が不安定になりがち。
「ふるさと納税」は、その中でも「現金の支出を減らす」という点で有効です。
例えば、
・食費を浮かせるために、毎年お米をもらう(実質2,000円で1年分の米/ご家庭によっては足りないかもですが…)
・外食の代わりに高級食材やお酒をもらい「自宅でプチ贅沢」
また、応援したい地域(好きなフェスの開催地、ライブやコンサートで行った町など)に寄付するのも、音楽家ならではの視点かもしれません♪
少し調べてみたところ、音楽関係では以下のようなちょっとユニークな「ふるさと納税」もありましたよ!
この他「ふるさと納税」のサイトで「楽器・音楽用品」といったワードで検索をかけると、ギターや電子楽器など、結構いろいろあるようですね!
デメリット・問題点は!?
良い事ばかりに見える「ふるさと納税」ですが、やはり問題、課題もあります。
1. 地方間の競争が激化
当初の目的は「地方への応援」でしたが、返礼品合戦になり、今や「商品目当て」で選ばれる傾向が強くなっています。
2. 大都市の税収が減っている
東京や大阪など大都市に住んでいる方が地方に「ふるさと納税」をすると、結果、今自分が住んでいる自治体の税収が減る事になります。
将来的にインフラやサービスの質が下がる可能性もゼロではありません。
3. 寄付の手続きや確定申告が少し面倒
特に音楽家さんのように確定申告が必須の方は、寄付証明書の保管や入力作業など、多少の手間がかかります。
(ただし、先述の通り「freee」などの会計ソフトを使えば、かなりスムーズに処理出来ます)
まとめ:「ふるさと納税」は音楽家にこそオススメ♪
日々の生活が不安定になりがちなフリーランスの音楽家さんにとって、「ふるさと納税」は「生活の質を上げながら節税出来る」貴重な制度と言えるのではないでしょうか。
ちなみに僕はこれまで「ふるさと納税」は利用した事がありません。
理由は、
・「大阪生まれ、東京育ち、千葉在住」のような感じで(比較的大都市のみで)、地域の特産物があるような地域に住んだ事がないから(あまり魅力的な返礼品のある自治体の出身ではないから)
・デメリットでお伝えしたように「ふるさとの応援、恩返しが目的ではなく、返礼品目当てになっている制度への疑問」
などですね。
「ふるさと納税」にはいろいろなサイトがありますが、自治体ではなく民間運営なわけで、当然それらの会社はボランティアではないはずです(手数料で稼いでいるわけです)。
実際にどの程度「本質的に地域の応援」になっているのかが見えづらい気もしているんですよね…
とは言え、官民一体となって何かをするのは悪ではないですし、例えば僕の場合、千葉の東京寄り、都市部に住んでいますが、千葉県のお米農家さんや漁師さんなどの応援が出来るかもしれないので、今年は「食わず嫌い」にならず、一度利用してみようと思っています♪
音TOWNプロデューサー/株式会社マウントフジミュージック代表取締役
3級ファイナンシャル・プランニング技能士/トロンボーン奏者
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藤井裕樹/音TOWNプロデューサー
【株式会社マウントフジミュージック代表取締役社長・『音ラク空間』オーナー・ストレッチ整体「リ・カラダ」トレーナー・トロンボーン奏者】 1979年12月9日大阪生まれ。19歳からジャズ・ポップス系のトロンボーン奏者としてプロ活動を開始し、東京ディズニーリゾートのパフォーマーや矢沢永吉氏をはじめとする有名アーティストとも多数共演。2004年〜2005年、ネバダ州立大学ラスベガス校に留学。帰国後、ヤマハ音楽教室の講師も務める(2008年〜2015年)。現在は「ココロとカラダの健康」をコンセプトに音楽事業・リラクゼーション事業のプロデュースを行っている。『取得資格:3級ファイナンシャル・プランニング技能士/音楽療法カウンセラー/メンタル心理インストラクター®/安眠インストラクター/体幹コーディネーター®/ゆがみ矯正インストラクター/筋トレインストラクター』