フリーランス音楽家の手間を軽減!クラウド会計&税理士委託のススメ♪/Vol.14
前回の「音TOWN.Biz」は、フリーランスの音楽家さんに有益な「青色申告」について解説しました。
人によっては(年収・所得によっては)、「結構節税になりそう!」と感じた方も多いと思います。
とは言え、記帳や書類の作成は「白色申告」よりも複雑になるので、「クラウド会計」の利用はほぼ必須、場合によっては税理士さんにお願いしたほうが良いかもしれません。
今回は「オススメのクラウド会計ソフト」や「税理士依頼のメリット・デメリット」を、僕の経験を元にお伝えしていきますね!
ちなみに「白色申告」の方でも、「クラウド会計のみ導入」はアリだと思います!
その理由についてもお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください♪
『音TOWN』(おんたうん)は、『音楽“と”生きる街』をコンセプトに、(プロアマ問わず)音楽家がより生きやすくなるために、主に音楽以外の有益な情報をお届けしています。
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このシリーズでは、音楽を職業にしていくためにとても重要であるにもかかわらず、学校ではあまり教わらない“お金”について、改めて学んでいきましょう!
お金について学ぶと「生き方」も明確になりますよ!
この記事を読むと役に立つ人は!?
・フリーランス・個人事業主の音楽家(演奏家)として活動している方
・「白色申告」「青色申告」の違い、メリットやデメリットがよく分かっていない方
・節税をして手元に残るお金を増やしたい方
読んだらどんな良い事が!?
・「青色申告」のメリットが分かり、導入のきっかけになる
・所得税や住民税の節税になる可能性がある
・税理士やクラウド会計の活用で「音楽」に集中出来る
クラウド会計とは?
最近は「クラウド」という言葉もだいぶ普及してきたので、多くの方はイメージ出来るかと思いますが、ざっくり説明すると、
「インターネットに接続する事で場所や端末を選ばずに利用出来る会計ソフト」
の事です。
以前のパソコンソフトは、CD-ROMでソフトを購入したり、ネットでダウンロード、インストールして使用するというスタイルでしたが、最近では月額や年額を支払い(サブスク)、インターネットにアクセスし、ログインIDとパスワードを使用して操作するのが主流になりましたよね。
理由としては、
・ほぼどこにいてもインターネットが使えるようになった事
・スマホが普及した事
が挙げられると思います。
この2つによって本当にいろいろなサービスが安く、便利になってきているので、「演奏という仕事はアナログ」であっても(生演奏・対面の価値は大切にしつつも)、「会計処理・お金の管理のような事務面で積極的にデジタルを活用」する事で、結果、音楽家という“事業”がもっと効率化されていくのではないでしょうか。
オススメのクラウド会計ソフトは?
<「freee」トップページ>
クラウド会計で利用者が多いのは、「freee」、「マネーフォワード」、「弥生」の3つ。
今回は、実際に僕が会社で使用している「freee」をご紹介しようと思います!
ちなみに「1社推し」「freeeからお金を貰っている」とかではなく、単純に「自分が実際に使用していて体感をお伝え出来るから」ですよ〜(笑)。
※例えば、周囲にすでに「マネーフォワード」、「弥生」を活用している同業者の友人がいらっしゃって、アドバイスをもらえるなら全然アリだと思います!(それぞれ特徴はあると思いますが、おそらくこの後ご紹介する便利なポイントの多くは共通していると思います)
「freee」が便利だと感じるポイント♪
レシート(領収書)はスマホで撮影するだけ!
現金での買い物が多い方は特に、1年分の「必要経費」のレシート管理と、「確定申告」の際の計算や処理が大変だと感じている方も多いのではないでしょうか。
「freee」の場合、スマホの専用アプリでレシートを撮影したら自動的に取り込まれ、何ならAIが日付、金額の他、何の勘定科目か(消耗品、賃借料 etc.)まで処理してくれます。
※手書きや印字がハッキリしない場合などは手入力での修正が必要
紙で保存するよりデータ化したほうが断然楽ですよね!
交通系ICと紐付け・連携出来る!
フリーランスの音楽家さんの多くは毎日職場が変わるので、「定期券ではない」方がほとんどかと思いますが、1年間、毎回「どこからどこまでの移動でいくらかかったか」を記録するのは結構大変な作業ですよね。
「確定申告」の時期になってから手帳を見返して1年分まとめて計算している方、いらっしゃいませんか?(僕がそうでした…笑)
これも、「freee」と連携しておけば自動で取り込んでくれるので、めちゃ楽になります!
僕は「モバイルSuica」ですが、「PiTaPa」や「スマートICOCA」も連携可能なようです(※2025年5月現在)
その他、Android端末のNFC機能を利用して、freee経費精算アプリでICカードをタッチし、利用履歴を読み込み、経費精算を行う事が出来るようですが、設定の手間などを考えると「モバイルSuica」が一番便利な気がしますね。
銀行口座と紐付け・連携出来る!
最近は「インターネットバンキング」と言って、銀行もインターネットと連携されるのが普通になってきました。
わざわざ通帳記入に行かなくてもスマホで報酬(ギャラ)の入金が確認出来るし、逆に、アナタがどこかに振り込まないといけない場合も、スマホだけで出来ますよね。
「freee」では、このインターネットバンキングのアカウントとも連携が可能なので、俗に言う「とっぱらい」(現金でギャラをもらう事)でなく、「銀行振り込み」であれば、売り上げの計算もとても楽になります!
(「楽天銀行」、「Pay Pay銀行」のような、いわゆるネット銀行だけでなく、「三菱UFJ銀行」、「みずほ銀行」、「三井住友銀行」、「ゆうちょ銀行」なども連携可能)
クレジットカードと紐付け・連携出来る!
僕は事業の「必要経費」になる買い物のほとんどは「クレジットカード決済」にしていて、現金は「現金しか使えないところ」でしか使いません。
先述のように、現金で買い物をしてレシートや領収書を必ずもらって、それをスマホアプリで撮影するまで保管するだけでも、数が多いと結構な手間ですよね。
クレジットカードであれば店頭やネットショップの決済時も楽ですし、「freee」に連携してあれば、レシートの撮影すら必要ないんです。
「通信費」として「必要経費」に出来るスマホやインターネットプロバイダの利用料などもクレジットカード払いにしておく事で、経費処理が簡単になります。
※2025年5月時点で「freee」では、「PayPay」のようなQRコード決済は対応していないらしいので、キャッシュレス決済には「モバイルSuica」、「nanaco(モバイル)」、「楽天Edy」、クレジットカードを利用するのがオススメ。
※ちょっと話が逸れますが、電車移動や地方への旅仕事が多い音楽家さんは、JRやJAL(日本航空)、ANA(全日空)のクレジットカードを持っておくと、ポイントやマイルが貯まりまくってとてもお得になりますよ!
スマホは「楽天モバイル」、銀行口座は「楽天銀行」、「NISA」や「iDeCo」などの投資は「楽天証券」、買い物は「楽天市場」、ホテル予約は「楽天トラベル」を利用して、決済は全て「楽天カード」のように、利用会社をまとめるのもお得です!
この点はまたいつか改めて解説しますね♪
「確定申告」の提出書類もほぼ「freee」だけで作成出来る!
僕は会社の決算(個人で言う「確定申告」)を税理士さんにお願いしているため、実際にこの機能は使った事がないのですが、「freee」では、○×形式の質問に答えていくだけで、確定申告に必要な書類を自動作成出来るようです!
気になる利用料は!?
こんな感じで、以前は「簿記」を勉強していないと不可能だった会計処理が、ほぼ「freee」だけで出来てしまうんですよ!
(ご紹介した「freee」、「マネーフォワード」、「弥生」の3つの中でも「freee」が一番「簿記」の知識がいらないという声もあります)
通販番組だと、ここで「でも、お高いんでしょ〜?」というお約束のフリがあるかと思うんですけど(笑)、
なんと最低金額は「税抜きで月額980円」からなんです!(※年払いを利用の場合/2025年5月現在)
※もう一度言いますが、「freee」からお金は貰ってないですよ!笑
ちなみに上記のプランは「領収書/レシートの画像アップロードが月に5枚までという制限がある」ようなので、極限まで現金払いをやめ、原則クレジットカード払いにしてこのプランを利用するか、それが難しい方は一つ上のプランにするかですね。
この金額をどう感じるかは人それぞれですが、僕がフリーランス時代に自分で確定申告をしていた頃の事を思い出してみても、「この金額であの3月の苦痛が軽減されるなら、多少お金がかかっても利用価値アリだな!」と感じます。
正直なところ、「青色申告」ではなく「白色申告」だとしても、紹介してきた機能の利便性を考えると導入を検討しても良い気がします!
ちなみに、この「freee」に支払ったお金も立派な「必要経費」なので(「通信費」「支払手数料」)、きちんと申告すればその分所得を下げ、所得税や住民税の節税になる可能性もありますね。
税理士さんにお願いするメリット・デメリット
解説してきたように、「クラウド会計」でかなりのところまで自動化出来るので、フリーランスの音楽家さんの場合、所得が相当高い方でなければ「丸投げ」はあまりオススメしませんが、「部分的にお願いする」はアリかもしれません。
・毎月の記帳はクラウド会計を使って自分で行い、確定申告だけお願いする
・最低限の月額顧問料を支払い、年間を通してサポートしてもらう
メリットは当然の事ながら、プロに任せる分、アナタは楽になります!
デメリットは同じく、任せる仕事が多くなればなっただけ、当然顧問料などの支払い額は大きくなりますよね。
ちなみに僕は個人事業主の頃から計4人の税理士さんと顧問契約をしましたが、あまり「節税や経営のアドバイス」をしてくださる方はいらっしゃらなくて、「淡々と、そつなく間違えないように税の計算をして、申告の期限を守るだけ」という方が多かったです。
教えてもらえないので自分で勉強をして「ファイナンシャルプランナー」の資格を取得しました。
もちろん、月額顧問料をたくさん支払えばやってくれるのかもしれませんが、一人会社や個人事業主では現実的ではないと思います。
顧問契約には至りませんでしたが、グループホームの会社経営もされている税理士さんと面接をした際、
「税理士は事務所で数字の計算をしているだけで現場を知らないので、机上の空論のありきたりなアドバイスしか出来ない人も多い」
とおっしゃっていました。
これは僕の個人的感覚とも一致するご意見で、同じ「士業」という事もあり、先日インタビューさせていただいた尋木先生のお話とも共通する気がします。
Cozy Tazunoki:「弁護士 兼 ハードロックドラマー」破天荒・異端の生き方♪
(参考:人間味のあるアートな弁護士とは!?)
まとめ
音楽家さん・ミュージシャンの多くは、
「出来れば面倒な事務仕事はやりたくない!」
「もっと音楽に集中したい!」
と思っているのではないでしょうか。
ふだんの会計処理や3月の「確定申告」の時期に多大なストレスを感じたり、生産性を下げてしまっている方も多いと思うので、それを「お金で解決するのも選択肢の一つ」ではないかと思います。
(その分生産性が上がり、音楽の仕事で回収出来れば「投資」は成功という考え方も出来ます)
ちなみに、税理士報酬ももちろん必要経費になりますし(「支払手数料」「支払報酬料」「支払顧問料」「業務委託費」など)、仮に前回お伝えしたような「青色申告のメリット」をフル活用して所得税、住民税の納税額を下げられれば、クラウド会計ソフトの年額や、税理士報酬の年額くらいの節税になる方はいらっしゃると思いますよ!
めちゃめちゃざっくりした計算ですけど、今より2万円節税になって、クラウド会計に2万円支払ったとすると、1円も負担が増えていないうえに、確定申告の手間は相当軽減されるので、生産性を考えたら完全にプラスと言えるのではないでしょうか。
というわけで、現状完全にアナログで会計処理や「確定申告」をされている方は、
・まず、このまま「白色申告」が良いのか「青色申告」にしたほうが良いのかを検討する
・クラウド会計を導入する(モバイルSuica、インターネットバンキング、クレジットカード連携などは必須)
・税理士さんにどの程度お願いするか、もしくはお願いせずに自分でやるかを検討する
といった感じで、どの状況が今のアナタに合っているか(最低限お金の管理を自分で行い、経営スキルを身に付けつつ、音楽に集中してストレス軽減出来るにはどうしたら良いか)を考えてみると良いのではないでしょうか♪
音TOWNプロデューサー/株式会社マウントフジミュージック代表
3級ファイナンシャル・プランニング技能士/トロンボーン奏者、『藤井裕樹』による
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藤井裕樹/音TOWNプロデューサー
【株式会社マウントフジミュージック代表取締役社長・『音ラク空間』オーナー・ストレッチ整体「リ・カラダ」トレーナー・トロンボーン奏者】 1979年12月9日大阪生まれ。19歳からジャズ・ポップス系のトロンボーン奏者としてプロ活動を開始し、東京ディズニーリゾートのパフォーマーや矢沢永吉氏をはじめとする有名アーティストとも多数共演。2004年〜2005年、ネバダ州立大学ラスベガス校に留学。帰国後、ヤマハ音楽教室の講師も務める(2008年〜2015年)。現在は「ココロとカラダの健康」をコンセプトに音楽事業・リラクゼーション事業のプロデュースを行っている。『取得資格:3級ファイナンシャル・プランニング技能士/音楽療法カウンセラー/メンタル心理インストラクター®/安眠インストラクター/体幹コーディネーター®/ゆがみ矯正インストラクター/筋トレインストラクター』