秦野真里:オンラインレッスンで講師業の価値・収入をアップするには!?

プライベートでは2児の母でもある秦野真里さんは、名古屋を拠点に「オンラインに特化したジャズ・アドリブのインストラクター」として活躍中

「音楽講座」をご自身で開発されただけでなく、「どのレッスン業にも応用可能なオンラインレッスン制作のノウハウ提供」を事業にした事で、サックス奏者、講師の枠を超え、ご自身の価値を上げる事に成功しています!

今回はそんな秦野さんのご自宅にお邪魔し、「どんな経緯で独立・起業したのか」「音楽教室の経営」や「オンライン教室スタートアップアドバイザー」のお仕事にかける想いなどをお伺いしました♪

『音TOWN』(おんたうん)は、『音楽“と”生きる街』をコンセプトに、(プロアマ問わず)音楽家がより生きやすくなるために、主に音楽以外の有益な情報をお届けしています。

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この特集は、音楽業界を陰で支える企業の経営者さんや、各分野のエキスパートをご紹介するコーナー。

経営理念ノウハウ専門知識から、何かしらの“学び”“ご縁”が生まれれば幸いです!

この記事を読むと役に立つ人は!?

・フリーランス・個人事業主の音楽家さん、音楽講師さん
・「教える仕事」にも重点を置いて収入を上げていきたい方
・オンライン講座の制作によって効率的に働きたい方

読んだらどんな良い事が!?

・「教えるスキル」を商品、価値に変えていく方法が分かる
・オンライン講座のメリットやポテンシャルを知る事が出来る
・起業や自立に必要なマインドや行動の仕方が分かる

引き寄せの法則!?銀行員からサックス講師へ転身!

藤井:対面・オフラインでは「はじめまして」ですね(笑)。

2021年のコロナ禍にFacebook経由でご連絡をいただいて、Zoomで秦野さんのオンライン・ジャズ・アドリブ教室「SAXOPARK」のコンサルをさせていただいたんですよね。

その後、事業を拡大し、今年は法人化もされたとの事。

微力ながらお役に立てたようで何よりです!

秦野:その節は大変お世話になりました!

そして今日は、わざわざ名古屋までお越しいただきありがとうございます。

藤井:経営・プロデュースのお仕事が中心になって、アーティストさんのツアーサポートなどのお仕事を請けなくなったので、名古屋は久しぶりです!

ではでは、本題ですが、まずは独立前のお話を聞かせてください。

秦野さんは音大ではなくて一般大、卒業後は一般企業に就職されていたんですよね。

秦野:はい。中学、高校は吹奏楽部、大学は軽音やジャズ研に所属してサックスを吹いていました。

大学の専攻は経済学部だったので、周囲は金融関係に就職する人が多かったですね。

私は当時、音楽の道に進むつもりは全くなく、憧れでもあった銀行に就職しました。

きっちりしたお堅い仕事をやってみたかったからなんですけど、いざ就職してみると何も面白くないし、自分のやるべき仕事ではないなと…

その頃は音楽教室に通う側で、サックスの先生に「銀行を辞めたい」「何か教える仕事がしたい」と少し話していたんです。

しばらく経ってからその先生に、「オレ、東京に出て活動したいから、ここの教室を引き継いでくれない?」って頼まれたんですよ。

藤井:なかなかレアな展開とご縁ですね!?

秦野:当時はまだサックスが上手くなかったんですけど、勢いで「やります!」と言ってしまい(笑)、銀行を退職してサックス講師に転身しました。

引き継いだ教室がヤマハの特約店だったので、資格試験を受ける事になったんです。

実は一度落ちまして、二度目で受かって、晴れてヤマハ音楽教室の講師として働き始める事になりました

藤井:新卒がすぐに会社を辞めてしまうのは昨今、社会問題になってますけど(賛否両論・ケースバイケースで、否定も肯定もしませんけど)、秦野さんの場合は、

「早い段階で銀行が自分に向いていない事に気付いて、“即”行動している(気付き・行動・変化が早い)」

印象ですね!

あと、うまくいっている人は「周囲に自分の想いを宣言している」方が多いと思うんですよ。

「引き寄せの法則」なんて言葉もありますけど、秦野さんが「銀行を辞めたい」「教える仕事がしたい」とサックスの先生に話していなければ、「引き継いでくれない?」と打診してもらえた可能性は低いですよね。

秦野さんが銀行を辞めたいと思っていたタイミングで先生が上京したいと思っていたのは偶然かもしれませんが、実はそうでもなくて、自分で引き寄せてチャンスをつかんでいるんじゃないでしょうか。

秦野:「“サックスを”教える仕事がしたい」と話していたわけではないので、まさかサックス講師になるとは思っていなかったんですけどね(笑)。

でも、塾講師のアルバイトをしていた経験もあって、教えるのが好きでしたし、「教え方が上手いね」と言っていただいた事もあります。

藤井:もちろん音楽教室の講師は「プロ」なので、楽器が下手なのはまずいですけど、かと言ってトップアーティストの技量が必要かと言われるとそうではなくて、それよりも「教え方」「伝え方」「聞き方」だったり、「対人関係」「コミュニケーションスキル」が大切じゃないですか。

秦野さんのポテンシャル、バランスの良さをその先生は見抜いていたのかもしれませんね。

オンライン『ジャズ・アドリブ』インストラクターとして独立♪


<名古屋で開催した「ジャズフレーズ作成ワークショップ」の様子/最近はオンラインだけでなく、リアルの活動にも力を入れているそうです♪>

藤井:その後、ヤマハ講師は何年くらい続けられたんでしょうか。

秦野:結婚して出産するまで、6〜7年だったと思います。

ヤマハ講師の時代から自宅でも教えていたんですけど、いずれは独立しようと思っていたので、(大手との)「差別化」は考えていました

ヤマハの場合、グループレッスンは60分、ヤマハの用意したテキスト、カリキュラムに沿ってのレッスンですし、個人レッスンは30分しかありません。

その制約の中でジャズ(アドリブ)を教えたり、音色の事などを深掘りするのは現実的に不可能に近いですよね。

藤井:僕も元ヤマハ講師ですけど、大手の力で「一般の方が楽器を習う、趣味にする事を身近にし、普及させた(ヤマハの)功績」はめちゃめちゃ大きいと思っています。

全国どこでもピアノやサックスが習える、楽器を買わなくても備品を貸してもらえる、マスメディアでCMをバンバン流して集客するなんて、個人や小規模法人では出来ないですからね。

でも、しばらく通い続けて「もっと上手くなりたい」とか「ジャズを突き詰めたい」となってくると、物足りなくなってくる方が一定数いらっしゃるのも事実ではないでしょうか。

なので、「広く大勢のための大手楽器店の教室」と、「コアな個人レベルの教室」があるというのは、「需要と供給」を考えると理にかなっていて、とても良い事ですよね。

秦野:大手のほうが働きやすい講師もいれば、藤井さんや私のように、独立に向いている講師とがいますからね。

ちなみに私は当時、自宅では1回90分のレッスンをやっていたので、「90分もマンツーマンでジャズ(アドリブ)を教えてもらえる!」と、とても顧客満足度は高かったんですけど、その割には生徒さんが上達していく実感がなかったんですよ。

練習量は十分な生徒さんで、上達してもおかしくない方が伸び悩んでいるのを見て「もっと効果的、効率的な教え方があるはず!」「私なりのオリジナルのプログラムを作ろう!」と考えたのが、現在の初心者にやさしいオンライン・ジャズ・アドリブ教室「SAXOPARK」の原点ですね。

いわゆる大御所のジャズプレイヤーは、膨大な反復練習や実践の結果、一流になられています

そういった方がレッスンをされて、「この教則本はいいよ」と、その中の一冊をアマチュアの方に渡し、限られた時間の中でそれだけを練習しても、同じように上達するのは難しいと思うんですよね。

藤井:アマチュアの場合、圧倒的に練習量が足りないし、情報が偏ってしまいますよね。

秦野:それに、「リピートアフターミー」状態で、ひたすら真似をさせても、生徒さん側は「何となく出来たかもしれない」というフワッとした感覚で、腑に落ちていないと思うんですよ。

藤井:ご本人は名プレイヤーであっても、教え方が上手いかどうかは別問題ですし、特に大人になってからアドリブを習得するのは新しい言語を習得するようなものなので、子どもが周囲の大人の会話を聴いたり、TVアニメを観て自然に話せるようになっていくようなプロセスは難しいですよね。

秦野:そうですよね。

私自身、感覚だけでサックスの演奏やアドリブが出来るようになったタイプではないので、「自分が演奏している時に何を考えているのか」をひたすら書き出してみたんです。

例えば、

「“この音を狙いたい!”と思っても、うまくその音に当たらないという事があったら、理論的にどう考えればその音を導きだせるか」

とか、

「暗記したコードトーンをどうやって実践で使っているのか」

また、

「どういう手順、工程数でそれを伝えるのがベストなのか」

という風に。

藤井:「右脳(感覚)タイプ」「左脳(理論)タイプ」の方がいらっしゃいますけど、秦野さんは後者寄りなのかもしれませんね。

大人で、特に初心者の生徒さんの場合、「左脳、理論的に腑に落ちる感覚」って子どもよりも大切な気がします。

秦野:たくさん書き出した中から、初心者がアドリブを演奏するために必要な“最小限の内容”に削ぎ落としてシステム化、テキスト化し、それをオンライン教材にしたのが「SAXOPARK」です。

藤井:例えばアメリカ旅行で最低限のコミュニケーションを取りたければ、必要最小限の単語は知っていたほうが良いですし、S(主語)+V(動詞)のようなシンプルな文法くらいは知っておいたほうが良いですよね。

会話に関しては、例えば機内でCAさんに「Beef or chicken?」と聞かれたら「Beef please!」と答えられれば、一応コミュニケーションは成立します。

外資系に就職してビジネスで英語が必要な方はこれじゃまずいですけど、旅行なら最低限で良いわけで、いきなり文法のテキストを丸々一冊渡して暗記させようとしたり、日本語字幕無しの映画を一本観て、「全部セリフを書き出してください」(全部耳コピしてください)みたいな事はやらないし、出来ないじゃないですか。

ジャズの先生って、ちょっとこれに近い方もいらっしゃるような…

英語は、教えるプロやテキストを作るプロがたくさんいますけど、ジャズって芸術、感覚の世界でもあるので、特に大人のアマチュア向けの分かりやすいプログラム、カリキュラムは多くないと思います。

そこをきちんと「言語化」「テキスト化」し、しかもこの時代に順応して「(有料)動画コンテンツ化」までしているのは素晴らしいですね!

ここまで自力で出来る方はほぼいらっしゃらないんじゃないでしょうか。

秦野:ヤマハのように「初心者が楽器を習う場所」と、「上級者が有名なジャズプレイヤーに高度なアドリブを習う場所」はあるのに、その間がない、乖離していると思うんですよね。

私はそこを埋めたい、橋渡しをしたいと思っていて、「SAXOPARK」を受講していただいた後は、もっと大御所の方がおっしゃるニュアンスや難しい理論も理解出来るようになると思うんです。


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「SAXOPARK」はどんなシステム!?

藤井:「SAXOPARK」はどんな学習方法になっているんですか。

秦野:生徒さんはご自身の好きなタイミングで動画コンテンツを観て学習、練習をしていただき、課題を提出していただいて講師が添削をするというようなシステムですね。

藤井:現在は何人くらいの生徒さんがいらっしゃるんですか。

秦野:60人くらいですね。

2021年に藤井さんにコンサルをお願いした当初は、私一人が講師を務めるつもりだったんですけど、生徒さんが増えてきた事もあり、現在はサックス、フルート、ピアノの先生と業務委託契約をして事業展開しています。

藤井:コロナ禍でオンラインが普及したのもプラスに働いたかもしれないですね。

秦野さんがこうして名古屋を拠点にしていても、インターネットさえ繋がっていたら全国のお客様をターゲットに出来るし、日本語さえ通じれば海外のお客様も受講可能です。

講師の先生方もどこに住んでいても良いわけですから、まだまだ伸びしろはあるんじゃないでしょうか。

ジャズのアドリブレッスンの場合、全く必要ないわけではないですけど、サウンド(音色)、演奏フォーム、カラダの使い方、呼吸法といった内容ではないので(語学レッスンに近いので)、「オンラインレッスン・動画学習」とは相性が良いと思いますね。

秦野:ある意味賛否両論というか、二極化状態で、「このようなオンラインレッスンが合わない(対面で教わりたい)」という方が一定数いらっしゃる一方、「自分の好きなタイミングで、何度も動画を見返して学べるスタイルが合っている」という方も多いようですね。

この講座は生徒さんが好きなタイミングで学べるのがメリットですが、逆を言えば「自主的に学習、練習をして課題を提出しないと進めない」ので、学習意欲やモチベーションが高くないと上達しません

これも「SAXOPARK」の狙い、(大手との)差別化と言えると思います。

藤井:大手楽器店の教室などは「普段は練習しなくても、教室に来た時だけ楽器を楽しんでくれれば良いですよ」という「気軽さを売り」にしていますからね。

もちろん、それでも“ある程度”は上達しますが、特にジャズのアドリブでは限界がある気がします。

秦野:動画コンテンツによる学習って、「クリアすると次に何が来るかな!?」という感じで、「ゲーム感覚」で楽しめるメリットもあるようですね。

藤井:秦野さんもこうしてご自宅に防音室がありますし、僕も経営している音楽教室は当然防音ですが、生徒さん側ってどんな練習環境なんですか。

秦野:「カラオケボックス」「ご自宅で電子サックス」という方もいらっしゃいますけど、「ご自宅に防音室がある方」は意外に多いかもしれません。

藤井:練習、学習意欲の高い方を対象にしているので、練習環境を整えている方も多いのかもしれないですね。


特集/海風堂 田中浩雅:音楽家・ミュージシャンのための「防音」入門!

「SAXOPARK BUSINESS」でレッスン・講師業の価値を上げていく!


<東京で開催した「動画教材カリキュラム作成ワークショップ」の様子>

藤井:ところで、今後「SAXOPARK」はどのような事業展開を考えていますか。

秦野:今は「オンラインのみ」ですが、いずれは「動画教材で学んで、対面レッスンでさらに学ぶ」というような「ハイブリッド形式」も出来たら良いなと考えています。

「SAXOPARK」の事業のゴールは、

「アドリブをやりたいと思った人の全員が学習、習得出来る環境を作る事」

なので、どの楽器でも受講可能になるように講師を増やしていきたいですね。

とは言え、大手のように「カリキュラムや規則で縛りなくない」し、かと言って「自由に教えていいよ」となると「SAXOPARK」のブランド、プログラムである必要がなくなってしまうので、ちょうど良いラインを試行錯誤しているところです。

もしも現段階でも「SAXOPARK」の講師をやってみたいと思った方は、ぜひ「お問い合わせ」からご連絡ください!

秦野:さらに、「SAXOPARK」という音楽教室事業だけでなく、「SAXOPARK BUSINESS」という名前で、「オンライン講座を作成したい先生や経営者さん向けのコンサルや、コンテンツ作成のサポートをする事業」も始めました
こちらの事業は、「レッスン・講師業の価値を上げていく事」をゴールにしています。

すなわち、「お客様(生徒さん)から正当な対価をいただけるようにする事」ですね。

藤井:「SAXOPARK」は秦野さんが開発したジャズのアドリブ習得に特化したプログラムですけど、オンライン講座の制作そのものや、カリキュラム、テキストにしていく「言語化・コンテンツ化」のノウハウは、レッスン・講師業のどの分野にも応用可能ですよね。

世の中にはそれなりに「教え方が上手な方」はいらっしゃると思いますが、「コンテンツを制作出来る方」は少ないので、需要があると思います!

秦野:対面のレッスンしかやっていないと、どうしても「1レッスン・1時間でいくら」というような「時給換算」になってしまうじゃないですか。

それが「SAXOPARK」のようなオンライン講座になると、お客様は「ジャズのアドリブ習得のための講座というパッケージ商品」にお金を払ってくださるので、「時間に対していくら」ではなく「提供している商品の価値に対してお金を払う」事になります

藤井:通常の対面レッスンで、仮に1レッスンが5千円だとすると、グループレッスンにしない限り、時給は5千円のままで、個人事業主でやっている以上、レッスン料の単価を上げない限りは1時間に5千円以上は稼げないですからね。

相場もあるし、生徒さんは「質・価値より時間に対してレッスン料を支払っている感覚」も強いので、2倍の1万円にするって正直なところ、かなり難しいんですよ。

(質や価値が2倍になっていると証明する事、納得させる事が難しい)

価値を実感して、パッケージとして購入していただけたら、生徒さんは基本自習ですし、「SAXOPARK」の場合、講師は期限までに添削をするだけですから、演奏の仕事とも両立可能で、「稼働効率」が良いですよね。

当たり前ですが、1レッスン1時間のレッスンはどんなに頑張っても1時間なのに対し、講師の腕が上がって、1人の添削に1時間かかっていたのが30分になれば、1時間で2人分可能なので、時給が2倍になっている(自分の価値を2倍に上げられている)のと同じですよね。

秦野:やる気のある先生の場合、「その1時間の中で何とかして上手くしてあげたい!」という想いが強く、生徒さんが求めている以上に頑張り過ぎて疲弊している方もいらっしゃいますよね。

例えば、前もって教材を(自分で書いた譜面を)準備してあげたり、LINEなどで質問に答えてあげたりとか…

藤井:それっていわゆる「時間外労働・サービス残業・ボランティア」と同じですからね。

あと、時間内にレッスンを終わらせず、(講師が盛り上がって)延長する方もいらっしゃいます…

僕もうちの講師に、「こういった行為は結果的に安売り、価値を下げる事になるからしないように」と伝えていますよ。

秦野:講師側も、いつまでたっても収入が増えない、増やすなら生徒数を増やすしかないという形ではなく、「受講生に対して熱意をもってフルコミットするけど、時間はかけない」という事が可能になれば、働き方としてモチベーションのアップ、結果として収入アップにつながると思うんですよね。

もう一つは、講師業って仮に同じレベルの生徒さんが10人いらっしゃったら、個人レッスンの場合、10回同じ事を教える事になるじゃないですか。

それを動画がやってくれるようになれば、効率が良いと思うんです。

生徒さんから質問が来ても「何番の動画を見返してください」と伝えれば良いんですよね。

先生側は、仮にどれだけ疲れていても、動画の中の自分が説明してくれる事でレッスンのクオリティを一定に保てますし、生徒さんは何度も動画で復習が出来るので、しっかり身に付くというメリットもあります

藤井:確かに先生は楽になっているけど、サボっているわけじゃなくて、「自分の分身(コンテンツ動画)が代わりに働いてくれている状態」ですよね。

教職員不足で質が低下してしまっている義務教育の小中学校や高校なんて、「教え方の上手い先生が動画を撮って、それを繰り返し使えばいいんじゃないの?」って思いますよ。

その代わり、子どもたちの心のケアが出来る方とか、部活動の指導のスペシャリストとか、専門の方のサポートにお金をかけたほうが、もっと優秀な人材が育つと思うんですが…

既得権益で、これをやると仕事がなくなる方々がいらっしゃるので、多分(当面は)実現しないと思いますけどね…

少し話が逸れましたが、秦野さんは「サックスを吹く・教える」というスキルから派生して、「オンライン講座を作成するノウハウ提供が出来る」というレアなスキルを身に付けた事で、結果、お客様・マーケットが音楽関係だけでなく、「レッスン・講師業であればほぼ無限」に広がったんじゃないでしょうか。

しかも、ちゃんとこれからの時代のニーズに合っているので、マネタイズ出来る、収入につながっていく可能性が高いと思います!

秦野:もう2年くらいこの事業をやっているんですけど、実際に音楽講師だけでなく、料理教室や着付けの先生などからもご相談、ご依頼をいただいていますよ!


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「法人化」の決意と覚悟♪

藤井:そして今年1月6日、ついに「合同会社Maritopos」という形で「法人成り」したわけですね。

法人成り:個人事業主が株式会社や合同会社などの法人を設立し、事業を法人に変更する事

どんな意図、想いで法人(会社)にしたんですか。

秦野:「SAXOPARK」では、講師さんと業務委託をし、報酬を支払って事業を行っているんですけど、私個人のお金からお支払いをする事に少し違和感があったんですよね。

藤井:個人経営の飲食店でも身内でないアルバイトを雇って営業しているところもあるので、全然ダメじゃないですけど、我々の場合、講師さんには(アルバイト契約ではなく)「業務委託契約」をしてもらっていますからね。

秦野:あとは、受講してくださる生徒さんや、コンサルを依頼してくださる講師さん(クライアントさん)から見ても、「秦野真里」という個人ではなく、「合同会社Maritopos」と契約をしているという形で「社会的信用」が違ってくるのではと考えました。

藤井:おっしゃる通りですね。

本来、例えば音大を卒業してプロの音楽家になると「個人“事業主”」になるわけですから、それなりの「覚悟」は必要なんですけど、法人にするって「もう一段階上の覚悟」かもしれません。

それによって得られる「社会的信用」はあると思います。

以前NPO法人で音楽事務所のような事をやっていて、企業案件もたくさんやらせていただき、いくつかのクライアント様からは今でも演奏者派遣のお仕事をいただくんですが、うちが法人でなければ依頼してくださらないような有名な企業さんもありますからね。

「節税のためには年収いくら以上になったら法人化すると良い」みたいなのもあるようですが、僕はそこではなくて(お金の問題ではなくて)、「自分の経験や成長のため」に法人化したんです。

結果として個人事業主・フリーランスでは経験出来ない世界を見られて良かったなと思っていますよ。


藤井裕樹:『音TOWN』『音ラク空間』でココロとカラダが健康な人を増やしたい♪

秦野:「覚悟」でもあり「責任」でもありますよね。

先ほどお話ししたように、当初「SAXOPARK」は私一人でやろうと思っていたんですけど、一緒に働いてくださる講師さん・ビジネスパートナーが出来、自分一人の責任や財産ではなくなったわけです。

お金を生み出し、正当な対価を支払っていくためにも、今、このタイミングでの法人化が必要だと感じました

銀行を辞めてサックス講師になった時もそうだったかもしれないですけど、「ひらめき・直感」というか、「やってみよう!」と思った時に動けるフットワークの軽さって大切なんじゃないかと思います。

藤井:そこで実際に動ける人と二の足を踏む人で、人生に差が付いていく感はありますね。

秦野:今思えば、無防備、無鉄砲でしたけどね(笑)。

藤井:時には「根拠のない自信」みたいなものも必要ですし、追い込まれたら何とかするしかないですからね(笑)。

そう言えば、旦那さんがお仕事を辞めるそうで!?

秦野:そうなんです。

私は以前から「主夫になってほしい」と思っていて、それがたまたま現実になった感じですね。

どうやら男性のほうが「安定したい」という本能があるようなんですけど、主人にも「ブレークスルー」があったようで。

「ずっと一つの会社で安定して働き続けるだけが幸せな人生ではない」

「子どもと過ごす時間は戻ってこないので、忙しく働く事で子どもとの時間を大切にしなかったら意味がない」

と考えるようになったみたいです。

藤井:会社を辞められるという事は、つまり秦野さんの事業が「一家の収入の柱」になっている(なっていく)という事ですよね。

秦野:そういう事になりますね。

もちろん、ずっと事業、経営がうまくいき続ける保証はないですけど、良い流れをつかんで乗っていきたい」と考えています。

藤井:先日インタビューさせていただいた「弁護士でドラマー」の尋木浩司先生「人生は流されるもの」っておっしゃっていました。

「覚悟」や「責任」、「綿密な計画」も大切ですが、ガチガチに思考を固めすぎず、時には「インスピレーション・感覚」で行動する事やバランスも大切ですよね。

ある意味「ジャズ的(アドリブ的)」な思考と言えるかも!


Cozy Tazunoki:「弁護士 兼 ハードロックドラマー」破天荒・異端の生き方♪
参考:「人生は流されるもの」

藤井:あと、昔の日本は男性が外で働いて、女性が専業主婦で家庭を守るというスタイルだったわけですけど、今は共働きが普通になってきているし、今後の「多様性」や「持続性」を考えた時に、逆パターンがあったり、もっと自由な働き方や人生設計があってもいいかなと思いますね。

秦野:そうですよね。

私個人や家族、会社のビジネスパートナー、お客様が幸せになるにはどうしたら良いか、今だけでなく、未来を見据えて、常にアンテナを張って成長・発展していきたいと思います!


秦野 真里(Mari Hatano)

音楽教室経営/オンライン教室スタートアップアドバイザー

大学卒業後、銀行に就職するも1年で退職し、サックス講師に転職。

ヤマハPMS講師在任中は、総勢200名以上の生徒さんの指導を経験したのち、2012年自宅にて「Hatano Sax Lesson」を開講。ジャズインプロビゼーションの指導をはじめる。

より効率的・効果的な指導を可能にするため、ヤマハ音楽教室を退任。

2020年、オンラインのみで学習出来る「独自のアドリブ習得プログラム」を開発し、「まりっぺと一緒に学ぶ “SAXOPARK” 」を運営。

オンラインレッスンの強みを生かし、日本にとどまらず、海外からもこのプログラムに参加する生徒さんを集めている。

2023年からは、習い事講師向けに、オンラインを導入する事で稼働効率を上げる方法の指導を始める。

2025年合同会社Maritopos設立。

プライベートでは2児の母。趣味はピラティス。

音大生のための“働き方”のエチュード/著:藤井裕樹
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藤井裕樹

藤井裕樹/音TOWNプロデューサー

【株式会社マウントフジミュージック代表取締役社長・『音ラク空間』オーナー・ストレッチ整体「リ・カラダ」トレーナー・トロンボーン奏者】 1979年12月9日大阪生まれ。19歳からジャズ・ポップス系のトロンボーン奏者としてプロ活動を開始し、東京ディズニーリゾートのパフォーマーや矢沢永吉氏をはじめとする有名アーティストとも多数共演。2004年〜2005年、ネバダ州立大学ラスベガス校に留学。帰国後、ヤマハ音楽教室の講師も務める(2008年〜2015年)。現在は「ココロとカラダの健康」をコンセプトに音楽事業・リラクゼーション事業のプロデュースを行っている。『取得資格:3級ファイナンシャル・プランニング技能士/音楽療法カウンセラー/メンタル心理インストラクター®/安眠インストラクター/体幹コーディネーター®/ゆがみ矯正インストラクター/筋トレインストラクター』