フリーランス音楽家が知っておきたい円安対策とは!?/Vol.16
最近はニュースなどでもよく「円安」「物価高」というワードを耳にしますよね。
「円高・円安」「ドル高・ドル安」など、聞いた事はあるけど、実はよく分かっていないという方、いらっしゃいませんか?
このような経済用語(状況)は一見フリーランスの音楽家さんには何の関係もないように思うかもしれませんが、クラシックやジャズといった欧米の音楽を生業(なりわい)にしている以上、切っても切れない重要な問題である事に間違いはありません!
「円安」の今だからこそ出来る対策や考え方、参考になる『音TOWN』内の記事もいくつかピックアップしてご紹介していますので、ぜひ最後までお読みください♪
『音TOWN』(おんたうん)は、『音楽“と”生きる街』をコンセプトに、(プロアマ問わず)音楽家がより生きやすくなるために、主に音楽以外の有益な情報をお届けしています。
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このシリーズでは、音楽を職業にしていくためにとても重要であるにもかかわらず、学校ではあまり教わらない“お金”について、改めて学んでいきましょう!
お金について学ぶと「生き方」も明確になりますよ!
この記事を読むと役に立つ人は!?
・フリーランス・個人事業主の音楽家(演奏家)として活動している方
・「円高・円安の仕組み」がよく分かっていない方
・自身の価値や所得を上げたい方
読んだらどんな良い事が!?
・「円高・円安」の仕組みが分かる
・「円安」の昨今、どんな対策をしたら良いかが分かる
・音楽家、ミュージシャンとして自身の価値を上げていく事の重要性が分かる
お金の価値は変動する!
世界には現在、約195の国や地域があり、それぞれ通貨(の単位)が違う事は皆さんご存知だと思います。
「え、円って世界中で普通に使えるんじゃないの!?」って思っている方、おそらくいらっしゃらないですよね(笑)。
例えばアメリカに旅行する時は「円をドル」に、ヨーロッパに留学する時は「円をユーロ」に変えたりするわけです。
ざっくり説明すると、「通貨を買いたい人と売りたい人がいて、その需要と供給のバランスが変わるため、相場・レートも変動する」という仕組み。
円高とは!?
問題です。
「1ドル100円」「1ドル150円」、どちらが「円高」でしょうか?
正解は「1ドル100円」のほうですね。
「100円より150円のほうが高いでしょ!?」と感じる方もいらっしゃると思いますが、定義は、
『円の“価値”が高いほうが円高』
になります。
例えばアメリカ旅行に行って、「1杯1ドルのコーヒーを購入する」と仮定してみましょう。
1ドルの商品を150円ではなく、100円で買えるという事は「円の価値が高い」「円が強い」と言えるので、つまり「円高」になります。
円安とは!?
当然の事ながら「円高」の反対なので、
『円の“価値”が低いほうが円安』
になります。
1杯1ドルのコーヒーを買うのに、100円でなく、150円支払わないといけないという事は、「円の価値が低い」「円が弱い」と言えるので、「円安」。
・「1ドル100円→150円」(円安が進行)
・「1ドル100円→80円」(円高が進行)
となるので、「円の数字が上がっていくと円安」「円の数字が下がっていくと円高」というふうに「逆になる」「反比例する」と覚えておくと分かりやすいかもしれません。
それから、当然の事ながら「1ドル◯円」「1ユーロ◯円」というふうに、国や地域ごとにレートは異なりますので、注意が必要です。
円安の影響
「インバウンド」という言葉が普通に使われるようになりましたよね。
(「Inbound」は「外から中へ入ってくる」という意味)
ここ数年はいわゆる「円安」状態なので、「海外から日本を訪れる人たちは安く旅行出来る」事になります。
円安で旅行・観光業界はどちらかと言えば潤っていると思いますけど、クラシックやジャズの音楽家さんはあまり恩恵がないのではないでしょうか。
(和楽器の方、日本のゲームやアニメの音楽に関わっている方は恩恵があるかも?)
インバウンドの影響でホテル代が高騰しているので、アーティストさんの全国ツアーやミュージカル・舞台の地方公演の興行に関わっている事務所さんなどは結構大変だと思います(奏者やスタッフの滞在コストが上がってしまうため)。
楽器やそのパーツ(マウスピース、リード、メンテナンス用品 etc.)も国産ではなく欧米のものを使っている方が多いと思いますし、旅行(海外の音楽フェスやカンファレンス参加)や留学も、例えば「1ドル100円→150円」になればコストは1.5倍なので、10万円で可能だった旅行は15万円、1000万円の留学費用は1500万円になってしまいます。
そもそも日本は大部分を「輸入」に頼っている国なので、国産の楽器であっても原材料の高騰で値上げが進んでいますし、音楽以前に、日常のあらゆるもの(食品・生活必需品)が値上げになっているのは誰もが実感しているのではないでしょうか。
そして何より、「私たちのお客様は一般の方」ですので、円安(値上げ)で生活が苦しくなり、財布の紐を締めてしまうと、生活必需品ではない「コンサート・ライブのチケットを買ってもらえない」「音楽教室に通ってもらえない」といった影響が起きてくるわけですね。
音楽家さん・ミュージシャンに有益な対策は?
「円高・円安」にはそれぞれメリット、デメリットがあり、皆さんへの影響も人それぞれ、ケースバイケースだとは思いますが、クラシック、ジャズに関わる音楽家さんにとって、「円安」はどちらかと言えば大変と言える気がします。
出来る対策としては、、
海外製品を購入するタイミングを考える!
1ドル100円の時に1万ドルの楽器は100万円、1ドル150円の時だと150万円になるわけですから、楽器のような高額な買い物をする場合は極力「円高」のタイミングを狙ったほうが良いですね。
留学やフェスの参加などは、円高になるのを待っているとチャンスを逃す可能性があるので、必要だと思ったら何とかするしかないかもしれません…
節税や投資を学ぶ!
「円安」では、演奏のギャラ(報酬)アップも難しいかもしれないですし、先述の「コンサート・ライブのチケットを買ってもらえない」「音楽教室に通ってもらえない」といった影響で仕事そのものも減少してしまうかもしれません。
ギャラをアップする事を考えるより、節税や投資に力を入れたほうが結果的に手取りが増える方も多いかもしれないですね。
ぜひ、「音TOWN.Biz」で紹介した知識を生かしてください!
フリーランス音楽家に必要な「確定申告」の基本と「節税」ポイント/Vol.2
フリーランス音楽家に有益な「私的年金」を活用した「節税」テクニック/Vol.5
フリーランス音楽家の節税に有効な「経費」の話【前編】/Vol.7
フリーランス音楽家の節税に有効な「経費」の話【後編】/Vol.8
フリーランス音楽家が確定申告に必要な「減価償却」の話/Vol.9
自身の価値を上げる方法を考える!
コンサート・ライブのチケットが売れない状況になっていても「完売」になっているアーティストさんはたくさんいらっしゃいますし、音楽教室でも、人気の楽器、人気の講師のところにはたくさん生徒さんが集まっています。
小麦や光熱費の高騰で倒産・廃業になるラーメン屋さんが増え、「1杯1000円の壁」などという言葉もよく聞かれるようになりましたが(ラーメンは元々安いイメージが強く、1000円を超えると客離れば止まらないという問題)、1000円を超えても行列が出来ているお店はたくさんありますよね。
要は「価値のあるものには一定数お金を出す方はいらっしゃる」という事なので、こんな「円安」の時だからこそ、「音楽家・ミュージシャンとして自分の価値・単価を上げるにはどうしたら良いか」を改めて考えてみるのも良いのではないでしょうか。
「円高・円安」は世界の情勢と密接に関係しているので、あなた一人でコントロールするのは難しいですが、あなたの価値はあなた自身、あなた次第なので、自分でコントロール出来ます!
※経営者さんのお話、音楽にも関わっている他業種の方のお話はとても参考になります!
大野充明:「三菱UFJ銀行支店長→山野楽器取締役」異色の経営者から学ぶ♪【後編】
半田成士:ソナーレ創業者と共に歩んだ半生/音TOWNで未来を創造する♪
Cozy Tazunoki:「弁護士 兼 ハードロックドラマー」破天荒・異端の生き方♪
森田耕:「トロンボーン奏者 兼 草津温泉のカフェオーナー」という生き方【後編】
井出慎二:「サックス奏者 兼 宅建士/賃貸管理士」という生き方
音TOWNプロデューサー/株式会社マウントフジミュージック代表
3級ファイナンシャル・プランニング技能士/トロンボーン奏者、『藤井裕樹』による
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藤井裕樹/音TOWNプロデューサー
【株式会社マウントフジミュージック代表取締役社長・『音ラク空間』オーナー・ストレッチ整体「リ・カラダ」トレーナー・トロンボーン奏者】 1979年12月9日大阪生まれ。19歳からジャズ・ポップス系のトロンボーン奏者としてプロ活動を開始し、東京ディズニーリゾートのパフォーマーや矢沢永吉氏をはじめとする有名アーティストとも多数共演。2004年〜2005年、ネバダ州立大学ラスベガス校に留学。帰国後、ヤマハ音楽教室の講師も務める(2008年〜2015年)。現在は「ココロとカラダの健康」をコンセプトに音楽事業・リラクゼーション事業のプロデュースを行っている。『取得資格:3級ファイナンシャル・プランニング技能士/音楽療法カウンセラー/メンタル心理インストラクター®/安眠インストラクター/体幹コーディネーター®/ゆがみ矯正インストラクター/筋トレインストラクター』